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あなたの不動産が「負動産」になるを読んだ感想【著・吉田太一】

不動産が負動産になる理由

引越魔と呼ばれる人はいたとしても、自分が所有する不動産を頻繁に売り買いする人は滅多にいないでしょう。

それ故に、不動産は「一生に一度の大きな買い物」と言われるのです。

そしてその買い物は、所有者の資産として、「何かのときに助けてくれる」存在だった、と言うのが四半世紀ほど前までの「常識」でした。

そのため、誰もが長期の住宅ローンを組んでまで不動産を所有することを夢見て、懸命に働いていた、と言うのが日本の一般的なモデルケースだったのです。

ところが、高度経済成長が終わり、人口減少が顕著になる中で、不動産の資産としての価値が怪しくなってきました。

「何かのときに助けてくれる存在」だったはずの不動産が、足かせになるかもしれない状況が、「たまたま」では済まされなくなってきたのです。

本書は、そうした現在の状況を把握するための、ガイドとなっています。

「あなたの不動産が「負動産」になる」の基本情報

古いマンション

  • タイトル:あなたの不動産が「負動産」になる 相続・購入する前に今すぐやるべきこと
  • 著者:吉田太一
  • 出版社:ポプラ社(ポプラ新書)
  • 価格:780円
  • 発行年月日:2015年8月1日 第1刷
  • 評価:星3個(5点満点中)

本書をおすすめしたい人

  • 不動産売買のために情報収集をしたい不動産初心者の方
  • 不動産と資産の違いに興味がある方
  • 不動産の相続や購入で困らない方法を知りたい方

「あなたの不動産が「負動産」になる」の概要

上空からのマンション撮影

著者は、「キーパーズ有限会社」を設立した人物。

日本初となる遺品整理の専門会社としてのサービスを提供する中で、相続による不動産の扱いに困っている人が多いことに気づいて、相続専門の不動産売買サービス「ホームパック」や、相続の法的な手続きのための司法書士紹介サービス「サムライ業ナビ」を運営しています。

本書は、6章に分かれ、それぞれの概要は以下のとおりです。

第1章 いつの間にか、不動産が負動産になっていた

著者が対応した遺品整理の案件からこの章は始まります。

その依頼者から、相続した不動産の売却を引き受けた筆者は、中古マンションの売買市場に直面して愕然とすることになります。

というのも、1年経っても売れ残り、賃貸とするにもリフォームなどで費用がかかる上に、家賃では回収するのに何年もかかり、借り手がある保証はないことがわかったから。

こうした状況が決して他人事ではないことを、事例を挙げて重ねていきます。

第2章 負動産ババ抜き、負けるのは誰だ

この章では、かつては富の象徴とされ、頑張って購入するにしろ相続するにしろ、不動産を所有することはメリットが多かったものから一転、デメリットが目立つようになったことを指摘。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックが終わると、デメリットはさらに深刻化すると予想。著者が言うところの「負動産」を手放すべきという持論を展開しています。

第3章 負動産を抱えないために知っておくべきこと

この章では、不動産購入に関する賛成派と反対派の意見を羅列し、感情的にではなく、数値をもとに自分の人生設計と照らし合わした検討の必要性を主張。

その上で、不動産所有にまつわるリスクについてシミュレーションしています。

第4章 負動産を不動産に復活させる方法

この章では、所有者の将来をむしばんでいく「負動産」を抱えてしまった場合の対処について言及しています。

改めて「負動産」の法的な定義をしながら、そこから逃れるための最終的な方法である「売却」の可能性を探っています。

【参考】イエウールのメリットとデメリットを解説

不動産売却をお考えの方は、イエウールのような無料査定サイトを利用して、ご自身の物件の価値を把握することが損をしないために大切なポイントです。

第5章 負動産で困らないための対策

この章では、「負動産」を抱えないために知っておくべきことに触れています。

「負動産」を回避するには、「レンタル」というライフスタイルを選択しに入れることを提案。

一方で、不動産購入に失敗しないためのポイントについて解説を加えています。

第6章 相続人になる前に知っておくべき知識

この章では、知らぬ間に「負動産」を背負いこむリスクの高い相続に焦点を当てています。

相続で「負動産」の魔の手に落ちないための最良にして最終の方法である相続放棄について触れられています。

「あなたの不動産が「負動産」になる」の感想

修繕工事中のマンション

本書は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック後に日本の不動産市場を襲うであろう資産価値の変動予測をもとに、不動産とのつきあい方を改めるきっかけを提案するガイド本です。

高度経済成長時期の評価が180度変わる今後の不動産を「負動産」と名付け、警鐘を鳴らしています。

遺品整理ビジネスのパイオニアらしい、「処分する」という視点で不動産の購入や所有を解説している点は、ユニークでわかりやすいと言えるでしょう。

しかし、多くの人が購入や相続してから不動産の実状に興味をもつことを考えると、本書に掲げられた対策や警鐘の大半は遅きに失していることは否めません。

著者が「負動産」というセンセーショナルな惹句を用いてまでも鳴らした警鐘を無駄にしないためには、不動産の所有前に手に取らなければならないわけです。

これが本書のメーンテーマであるだけに、もう少し「負動産」対策の具体的な方法に踏み込んでほしいという読後感が残ってしまいました。

ただし、不動産市場の予習という意味では、効果が期待できる内容と言えます。

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