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マンション格差【著・榊淳司】を読んだ感想・口コミ

マンション格差

「格差社会」という言葉が新語・流行語大賞の上位に入選して注目を集めたのが2006年。

その6~7年前あたりから、昇進や給与体系、教育機会に関しての不平等が顕在化し、社会問題化していました。

ワーキングプアやニートといった社会的弱者が増える一方で、ヒルズ族やセレブと呼ばれる富裕層が話題になるなど、それまでの「一億総中流」と呼ばれた時代が終わりを告げました。

それは、何事に関しても「勝ち組」と「負け組」の二極化を意識しなければならない世の中になったことを意味し、マンション選びについても例外ではないのです。

その後、政権も二転三転し、日銀政策の大胆な転換を含めて対策を講じるものの、いまだに格差社会は是正されず、逆に格差は広がっているとも言える状況なのです。

本書は、そうした中でどんなことが起きているのかといった、マンションにフォーカスした格差の内容を明らかにします。

「マンション格差」の基本情報

マンション

  • タイトル:マンション格差
  • 著者:榊淳司
  • 出版社:講談社現代新書
  • 価格:740円
  • 発行年月日:2016年10月14日 第4刷(2016年9月20日 第1刷)
  • 評価:星3個(5点満点中)

本書をおすすめしたい人

  • 不動産売買のために情報収集をしたい不動産初心者の方
  • デベロッパーと呼ばれる不動産業者の内情に興味がある方
  • 購入したマンションによって生まれる格差について知りたい方

「マンション格差」の概要

湯島ハイタウン

著者は、1980年代のバブル経済時期にマンション分譲など不動産業に携わった経験をもつ住宅ジャーナリスト。

本書は7つの章に分けられ、それぞれの概要は以下のとおりです。

第1章 マンションのブランド格差を考える

この章では、市場にマンションを供給する、デベロッパーと呼ばれる業者がどのような役割を果たし、その収益構造や営業姿勢などについて解説。

購入するマンションが割高になったり割安になる業界の仕組みを理解するための初歩的な知識について触れられています。

第2章 管理組合の財政が格差を拡大させる

この章では、購入後のマンションの価値は管理組合の財政状況に大きく影響されることに触れ、修繕積立金に関する基礎知識と、その実態を暴いています。

第3章 価格が落ちない中古マンションとは

この章では、まず、築30年を超えても周辺の新築売出価格より高値で取引される広尾ガーデンヒルズのようなビンテージマンションを例に挙げて、市場は築年を単純に評価しないことに言及。

一方で、ニュースにも取り上げられた欠陥マンションの実名を挙げながら、資産であるはずのマンションが毀損されるリスクについて触れています。

また、小学校の通学区や民泊など、マンション自体の評価ではないものの影響が少なくない要素についても簡単な解説を施しています。

第4章 マンションの格差は「9割が立地」

この章では、マンションの資産価値を決定づけるものとして、立地に関するどのような条件がどのような影響を与えるのかについて解説しています。

中古マンションが高値で取引されるエリアについては、東京と関西の主要都市について、鉄道沿線別に具体的な評価を提示しています。

第5章 タワーマンションの「階数ヒエラルキー」

この章では、マンションならではの資産格差と言える階数の優劣について触れています。

全般的に新築時には存在する階数による価格差は中古で縮まるとしながら、タワーマンションでは事情が異なることを指摘。

階数ヒエラルキーが生まれる背景について解説しています。

第6章 管理が未来の価値と格差を創造する

この章では、9割が立地に左右されてしまうマンションの資産価値で、残りの1割に大きな影響を与えるとする管理について言及。

巨額な資金を動かす管理組合のリスクに触れながら、どうすれば資産価値を上げることができる管理を実現できるかという、管理組合を健全化させるためのヒントが盛り込まれています。

第7章 マンション「格差」大競争時代への備え

東京オリンピック・パラリンピックが開催されたあとの2023年には空き家率が21%に達するという資産がある中、改めて資産価値を損ねないマンションの条件とその重要性について触れています。

また、「賃貸仕様」というデベロッパーの都合によるマンションがあることを明かして、「購入か賃貸か」という究極の選択において、賃貸派にアドバンテージがあることを示しています。

特別付録 デベロッパー大手12社をズバリ診断

巻末に、デベロッパーとして名が知られている12社に関する素性と内部事情を暴露しています。

「マンション格差」の感想

住宅街

冒頭、都心勤めのビジネスパーソンである2人の人物が35年のローンを組んで4000万円のマンションを買ったと仮定し、35年後にどうなるかを想定するところから本書は始まります。

過程とは言え、4倍もの資産価値の差が出る可能性を示してから、マンションの資産価値の意味と、格差を生む環境や条件について追っていこうとするのが本書のメインストーリーです。

そのために、本書の目的はマンション選びにおいて「勝ち組」と「負け組」を分けるポイントがあることにとどまり、「勝ち組」になるためのノウハウを学ぼうとする読者には隔靴掻痒の感が残ることは否めません。

本書ではデベロッパーの裏事情にも触れるなど、得難い情報がちりばめられていることも確かですが、マンション選びの初心者にとってはトゥーマッチである部分も多く、中級者以上の素養が必要になると言えるでしょう。

最初の1冊ではなく、数冊を読んでマンションの取引に関するベーシックな知識を身につけてから手に取れば、スキルアップとリスク回避に役立つ特効薬的な1冊になってくれるでしょう。

なお、基礎的なことを身に着けたい不動産初心者の方には、のらえもんさんが書かれた下記の書籍をおすすめします。

【感想】本当に役立つマンション購入術(著・のらえもん)を読んだ感想

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