東京で家を買うなら【著・後藤一仁】を読んだ感想
「住めば都」は、どんなに不便な土地柄でも、気に入って住んでしまえば、そこは自分にとって「都」すなわち一国一城の主である自分の拠点になることを意味する故事です。
これに対して、「住まば都」という言葉があるのをご存じでしょうか。
こちらは「住むなら都」、すなわち「都」としての機能が備わっているエリアこそが住むに値する場所柄であることを示しているのです。
そして、現在の日本において、貴重な蓄えを注ぎ込んだり、わざわざ借金をしてまで購入するマイホームを選ぶとしたら、後者が当てはまるエリアにすべきであることは言うまでもありません。
本書は、そんな「住まば都」の現代版である、「東京に家を買うために知っておくべきこと」がテーマになっています。
「東京で家を買うなら」の基本情報
- タイトル:東京で家を買うなら
- 著者:後藤一仁
- 出版社:自由国民社
- 価格:1,500円
- 発行年月日:2016年12月12日 初版第5刷(2014年12月24日 初版第1刷)
- 評価:
(5点満点中)
本書をおすすめしたい人
- 不動産売買のために情報収集をしたい不動産初心者の方
- 東京に家を買うことに興味がある方
- 「住まい」と「資産」の両立について知りたい方
「東京で家を買うなら」の概要
著者は、1965年生まれの不動産コンサルタント。
大手不動産会社のハウジングアドバイザーや取締役を経て不動産会社を立ち上げ、東京を中心に不動産全般の実務に従事し、6,000件以上の取引に関わったほか、1万組以上の対面個別相談を行うなど、顧客目線でのアドバイスを実行してきた経歴をもつ人物です。
本書は、序章から終章のあいだに5つの章を設けています。それぞれの内容は以下のとおりです。
序章 家は今「買い時」か、買うならどんな物件がいいのか
この章では、「マイホームの買い時」という、ライフサイクルの節目で必ずと言っていいほどぶち当たらざるを得ない大命題に対する、著者の持論が展開されています。
不動産会社の経営者という視点で状況を俯瞰しながら解説し、幸せになるためのポイントを3つに絞っていきます。
第1章 戦略的に家を選ぼう
この章では、3つの「幸せなマイホーム選び」のためのポイントに進む前に、戦略的に家を選ぶこととはどういうことかをおさらいします。
漠然とした「いいマイホーム選び」の基準を絞り込むために、成功と失敗の事例を挙げながら、エリアの違いにも目を向けることの重要性を提唱します。
第2章 「消費の家」ではなく「資産の家」を持とう
この章では、「幸せなマイホーム選び」のポイントの最初に位置する、資産価値について触れています。
日本における法定耐用年数内での住宅評価の矛盾を払拭しながら、住宅にとっての資産価値とは何かを考えるための土台となるミニ知識がちりばめられています。
第3章 「資産価値の下がらない家」の選び方
この章では、資産価値のあるマイホームを選ぶために必要な知識をまとめています。
まず、どのような条件が資産価値を下げるのかを、29項目にわたって説明。
それを踏まえた上で、「価値の下げない条件」について、16項目にわたって説明しています。
第4章 「安全性」を確認して災害リスクを最大限軽減させよう
この章では、「幸せなマイホーム」のための2つめのポイント、「安全性」をチェックするために、知っておくべき基礎的な知識を説明しています。
第5章 幸せになる家の買い方
この章では、まず、「幸せなマイホーム」のための3つ目のポイントである「利用価値」について触れ、「資産価値」とのバランスを考えることの重要性について言及しています。
また、「幸せなマイホーム」の必須条件とも言える「貸せるマンション」や「売れるマンション」を算出するための項目や計算方法などを解説しています。
さらに、住宅ローンや不動産会社の選び方を、「幸せなマイホーム選び」という切り口で解説しています。
終章 東京のおすすめ市区・沿線・エリア
この章では、本書の最終目標である東京エリアのどこにマイホームを持つべきかの判断材料となる、各エリアの特徴などを、坪単価レベル別にまとめています。
「東京で家を買うなら」の感想
本書は、「幸せなマイホーム選び」とは何かを具体化させるための3つのポイントにまつわる知識を高めることに多くのページを割いています。
そして、実際に購入活動をスタートしたときに、業者から物件の情報が送られてきたときに素早く適切に反応できるための「ものさし」や「ファイル」を作ることを勧めています。
3つのポイントに関する説明は網羅されているものの、「資産価値」と「利用価値」のバランスの取り方など、もう少し突っ込んで解説してほしいと思う部分が少なくなかったのは残念です。それだけ網羅的に、「幸せなマイホーム選び」を実践するための基礎知識が詰め込まれていると言うことでもあるのですが…。
ただし、東京のエリア別の解説については類書の追従を許さない独自の内容で、この点だけでも資料性の高い1冊と言えるでしょう。
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