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「あなたの持ち家を相場より高く、早く売る方法」を読んだ感想【著・橘真優】

あなたの持ち家を相場よりも高く売る方法

不動産を高く売るなんて、業界の表裏を知り尽くした危ない橋を渡るのも厭わない業者か、宝くじに当たるような幸運に恵まれないかぎり無理だと思っている人、多いのではないでしょうか。

そんな風評も、あながち全否定できないのが、不動産取引のミステリアスなところ。

その証拠に、ネットの口コミには売り出し価格からどれだけ値引かれたかという、自虐とも自慢ともつかない投稿があふれています。なかには「売却を諦めた」という話まで出る始末。とても「不動産は資金化でいざというときにも役に立つ資産」とは呼べないような情報が飛び交っているのです。

もちろん、こうした情報は1つ1つを精査して検証すべきで、一般論で「シロウトの不動産は高く売れない」と結論付けることはできません。

であるならば、「シロウトでも不動産を高く売る」ためのヒントがまったくあり得ないことはないはず。

この本は、その「あり得なくはない」ことが本当かどうかを解き明かしてくれます。

「あなたの持ち家を相場より高く、早く売る方法」の基本情報

分度器とコンパス

  • タイトル:あなたの持ち家を相場より高く、早く売る方法
  • 著者:橘真優
  • 出版社:幻冬舎
  • 価格:740円
  • 発行年月日:2014年9月18日 第1刷
  • 評価:星4個(5点満点中)

本書をおすすめしたい人

  • 不動産売買のために情報収集をしたい不動産初心者の方
  • 「お宝不動産」に興味がある方
  • 不動産市場の相場の仕組みを知りたい方

「あなたの持ち家を相場より高く、早く売る方法」の概要

家とお金

著者は、20年近く不動産売買や仲介に携わり、不動産オークションの立ち上げなど、従来の不動産業界の不都合を改革する事業を立ち上げている経営者です。

本書は、著者が実務で経験したイノベーションから、不動産が安く買いたたかれる業界の慣習を分析し、どうすれば高く、早く売却できるかのヒントへ導いていくものです。

本編は5章に分かれ、それぞれの内容は以下のとおりです。

第1章 業者の都合が最優先される不動産売買の現実

この章では、不動産売買の「あるある」のなかでも最も多いとされる「売主と仲介業者の値付けギャップの原因を追いながら、結局は業者の主張に傾かざるを得ない背景について説明しています。

第2章 知られざる不動産価格決定のカラクリ

この章では、需要と供給という経済の原則を基準に、不動産取引ならではの特殊性を加味して売買価格が決められる過程を解説しています。

第3章 どんなマンションや戸建てでも、相場以上に好条件で売れる可能性がある

この章では、前章までの原理には当てはまらない事例が存在することを挙げています。

相場よりも高い価格で取り引きされる9つの事例について、それぞれその理由と、金利的な背景などを解説しています。

第4章 不動産会社を上手に使って、あなたの持ち家を高く、早く売る方法

この章では、前章までの解説を踏まえて、高く、早く売るためのポイントについて言及しています。

仲介業者の選び方や、物件のアピールポイントの見つけ方なども簡潔にまとめられています。

後半は、これまでなら万人向けではないとされて「安くても売れない」とされてきた個性的な物件にこそ勝機があるという持論を展開しています。

いわゆるプレミアを付けることができる物件であれば、相場よりも高く、早く売却できる可能性が高くなることを指摘。

そのためには、そうした個性的な魅力のある物件を探している人とのマッチングのシステム作りが重要で、著者が立ち上げた不動産オークションを紹介しています。

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第5章 持ち家売却の成否は、不動産会社選びにかかっている

オークションを利用するしないとは別に、売却する物件の価値の見定めとスピードアップには、そうした意識をもった業者を選ぶことが重要であることに触れています。

「売りにくい物件だから安く」という提案ではなく、なぜ売りにくいと感じるのかを考え、それを逆にセールスポイントに転じる視点をもった業者と、その提案を理解できる売主に、「高く、早く」というこれまでの非常識な不動産売却が可能になる、とまとめています。

「あなたの持ち家を相場より高く、早く売る方法」の感想

マンション

経済原則からすれば、「高く売ること」と「早く売ること」はトレードオフの関係にあるため、その両立は矛盾することになります。

しかし著者は、そもそも日本の不動産取引の現状が経済原則を適用するに足る環境にないことを指摘。

情報の偏りの解消や、十分な発信力を備えたシステムがあれば、むしろプレミアの付いた価格の物件を優先する取引が活発になるとしています。

著者は、実際に不動産オークションの運営を手がけ、この点に関して机上の空論ではないことを高く評価したいと思います。

一方で、著者が指摘する「これまで売りにくいとされた個性的な物件」が該当するのはレアケースであるとも言えます。

つまり、自分の売却したい物件が「高く、早く売る」ようにできる条件にマッチする可能性は、残念ながらあまり高くないのではないでしょうか。

しかし、平均化が相場を作るとは言え、1つとして同じものがないのが不動産の大前提。

少しでも物件の魅力を見つけ出して、相場に流されない取引を実現させるために、有用な知識を与えてくれる内容でした。

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