1. ホーム
  2. 書評
  3. 不動産関連の書籍
  4. ≫「任意売却8つのメリット」を読んだ感想【著・落合聡志】

「任意売却8つのメリット」を読んだ感想【著・落合聡志】

任意売却

最近、不動産売却の理由ランキングに異変が起きています。これまで圧倒的に多かった「住み替えのため」が影を潜めたというのです。

つまり、「古くなった」「手狭になった」といったバージョンアップを意図したポジティブな理由ではなく、ローンの負担を解消するための、どちらかと言えば追い込まれてやむを得なくといった内容のものが増えたことによるもの。

そのようにローンを完済せずに住宅を処分する方法を『任意売却』と呼びます。任意売却の流れについては、以下のサイトで詳しく解説されていますので、そちらをご参照ください。

【参考】任意売却の流れ【無料相談から交渉・契約まで】

終身雇用や右肩上がりの景気という神話が崩れて久しい一方で、国の住宅施策はばらまきを止めず、ゼロ金利政策も手伝って、「夢のマイホーム」を手に入れるためのハードルは現在もそれほど高くなったとはいえません。

しかし、買えたと思っているマイホームも、借入金の精算が終わらなければ、本当の意味で自分のものになったとは言えません。

こうしたハプニングは、景気の悪化や働き手の病気といったアクシデントで、ある日突然、マイホームの所有者に出現するのです。

この緊急事態に、どう対処すればいいのかを知る人は多くありません。そして、一生に一度の大きな買い物と言われるマイホームの購入にさえ慣れていなかった人にとっては、あまりにもハードルが高すぎる出来事だと言えるでしょう。

こうした事態に立ち向かう道しるべとなってくれるのが、この「任意売却8つのメリット」です。

「任意売却8つのメリット」の基本情報

マイホームの売却

  • タイトル:住宅ローンが払えなくても家族が幸せに暮らせるたった1つの選択肢:任意売却8つのメリット
  • 著者:落合聡志(任意売却ネットワーク代表)
  • 出版社:現代書林
  • 価格:1,300円
  • 発行年月日:2013年8月19日 初版第1刷
  • 評価:星35個(5点満点中)

本書をおすすめしたい人

  • 不動産売買のために情報収集をしたい不動産初心者の方
  • 任意売却に興味がある方
  • 毎月の支払いを見直して生活設計を立て直したい方

「任意売却8つのメリット」の概要

家のオークション

筆者は、システム開発会社から不動産会社に転身して、営業畑でスキルを磨き、トップセールスにまで上り詰めた人。独立後の2011年に任意売却を効率的かつ有機的に実現させるための相談窓口となるポータルサイト「任意売却24hネットワーク」をスタートさせ、本部代表を務めています。

本書は「住宅ローンが払えなくなっても家族が幸せに暮らせるたった1つの選択肢」という副題のとおり、債務返済のキャパシティを超えてしまった人にとって、著者がベストと考える「任意売却」という方法について解説しています。

第1章 「家を失う」ということ

この章では、以前は身を持ち崩すなどのようなレアケースだった住宅ローンの返済不能が、まじめに働くビジネスパーソンにも広がっている現状を分析。

そして、住宅ローンを滞納すると、どのような事態になるのかをシミュレーションしています。

第2章 身に迫る「競売」とはどういうものか

この章で説明しているのは競売。

住宅ローン滞納の終着点が競売です。約束どおり、すなわち毎月決められた金額と期限を違わずに返済しなければならないことは、ローンの契約書に必ず記されている文言です。

これを守れなかった大多数の末路が競売、裁判所による強制的な売却による債務の返済で、その具体的な内容と、精神的な面を含めた債務者(競売を受ける当事者)への影響にも触れています。

第3章 競売を回避する方法。それが任意売却

この章で説明しているのは任意売却。

本書の根本的なスタンスである「競売よりも任意売却」の理由をたどりながら、任意売却の方法とメリットを解説しています。

第4章 任意売却成功のカギは信頼できる業者を選ぶこと

任意売却は競売よりもメリットが多いものの、決して手軽で安全な手段とは言えません。

それだけに任意売却を二人三脚でサポートしてくれる専門家たちの存在が重要になります。なかでも、実際に物件売却を担当する不動産業者の力量次第で大きな差が出てしまうというのが、この手段のポイントであることを説明。

さらに、業者選びでの注意についても触れ、悪い業者に引っ掛からないためのチェックシートも用意されています。

また、巻末には著者が扱った5つの事例を紹介し、より現実的な債務不履行への対処がシミュレートできるようになっています。

「任意売却8つのメリット」の感想

法律

備えあれば憂いなし。災害に対して非常食などを買い置きしておくように、資産である所有不動産を維持していくためにも、対策を講じておく必要があります。

ましてや、住宅ローンを組んで買った物件は、支払いが終わるまでは完全に自分のものではないことを忘れてはいけません。そして、景気の動向や自分を含めた家族のトラブルなどで、支払い計画が当初の目論見どおりにいかないことも珍しくないことを想定しておくべきでしょう。

本書は、そうした緊急事態が発生して、せっかく手に入れた資産としての所有不動産を手放さなければならなくなったときに、少しでも有利になる手段が存在していることを知らせてくれるものです。

ただし、常備していた非常食が期限切れまで出番がなくて平日の食卓に上がるように、多くの人にとって「任意売却」の知識が必修であるとは言えません。その意味で、本書は2ポイントほどマイナスになるのではないでしょうか。

しかし、備えなければ憂いは何倍にも増してしまうことを考えれば、本書が存在する意味は重いと言えます。

住宅ローンなど債務がある人は、保険の加入と同様にチェックしておくべき内容でしょう。

Copy Protected by Chetan's WP-Copyprotect.