少しでも高くマンションを売却するために売主ができること
マンションなどの不動産は、人間が生活をするために必要な「衣食住」のひとつを担っています。
そして「衣食」に比べると、「住」を得るために支払わなければならない費用は、桁違いに高いと言わざるを得ません。
もちろん、毎日必要な「食」、季節ごとに衣替えしなければならない「衣」も、購入回数を重ねれば「住」であるマンションの価格を超えてしまうことにあるでしょう。
しかし、牛丼ならワンコイン以下、TシャツとGパンなら数千円で調達できるのに比べると、中古のワンルームマンションでも数百万円は下回らないはず。とてもポケットマネーでポンッと買えるものではありません。
それだけに、所有したマンションは「住」としての役割を果ただけでなく、財産としていざというときに資金化できることが期待されるというわけです。
ところが、実際にマンションを売却して資金化しようとすると、課税標準額のように決まったものでもなく、株式相場のようなその日の相場価格が明示されることもないため、戸惑うことが多いのも事実。
ということは、逆に、なにか手を打てば売却価格に与える影響も少なくないはずです。
そこで、不動産売買に疎いシロウトの売主にもできる、マンション売却を有利にするためにできることを探ってみましょう。
マンション売却活動における売主の役割
マンションの売却については、仲介業者と契約して進める方法が一般的です。この場合で、売主が行うべきことをまとめてみましょう。
1.仲介業者を決める
仲介業者に売買契約までの必要な手続きなどを代行してもらう場合、売主が最初にしなければならないのは、その仲介業者を決めることです。
仲介業者によって得手不得手があり、それによっていくらなら売却できそうか、どのぐらいの期間で売却できそうかといった、マンション売却の軸となる方針が大きく変わってきます。
窓口となる仲介業者の選定は、売主がマンション売却で最初にしなければならない、重要な決断となります※。
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2.売却価格の決定と調整
マンションの売却活動は、いくらで売却をするかを決めなければ始められません。
専門知識のある第三者への相談は必要です。しかし、「いくらで売却したいのか」「いくらまでなら(値下げしても)売却してもいいのか」といった判断まで他人任せにしてはいけません。
3.売買契約
仲介業者に任せたマンション売却は、業者が見つけた買い手の名前が記された契約書が送られてきて、それにハンコを押して、代金が振り込まれて終わり、というイメージを持っているかもしれませんが、大きな間違いです。
マンションに限らず売買などの契約行為は、当事者の承認がなければ成立しないというのが、法の原則となっています。
これは他人の財産を勝手に処分できないようにするため、売主の意志を確認してから代金の授受や登記の変更をしなければならないことを示しています。
売主が仲介業者に依頼するのは、買い手を見つけることと、そうした売却活動に付随する手続きの代行で、契約自体を業者が代行することは認められていません。
これは逆に、売主が業者から買い手の情報と要望をしっかりと聞き取り、判断した上で返答する必要があることを意味しています。
売ると決めたから売却活動を始めるわけですが、事情が変わったり、条件が合わなければ、売却を止めるのも売主の自由なのです。
マンションの売主がやっておくと効果が期待できること
では、1から3について、売主はどんなことをやっておけば効果が期待できるかを考えてみましょう。
1.仲介業者を決める
仲介業者の選定については、比較と照らし合わせがキーポイントになるでしょう。
査定の一番高かった業者だけに絞り込むのではなく、なぜ高かったのかを説明できるかを聞くことが重要になります。そのためには、1社に絞り込む前に、複数の業者と売却活動についての意見交換を行うことが効果的だと言えます。
2.売却価格の決定と調整
売却価格については、売主と業者のギャップが最も開いてしまうことが多いでしょう。
業者は売却の可能性とスピードを高めるために、可能な限り安値を提案することが考えられます。それに対して売主は、可能な限り高値で売りたいわけです。
それをギャップを埋めるためには、売主が自力でできるバリューアップを行うしかありません。
自力でできるバリューアップの方法は、まず片付けと掃除です。もう売却して他人の手に渡ってしまうからと、汚れたままにしておくのはNGです。買い手の好感度を上げることができなければ、売却の可能性とスピードを上げるどころか、売れ残りのリスクを高めてしまうことにもつながってしまうのです。
リフォームやハウスクリーニングなど、積極的なバリューアップへの投資をするかしないかについても、売主の責任において積極的に判断していくべきポイントになります。
3.売買契約
売買契約に際して、売主にできることがあるとすれば、その契約内容が当初の売却計画の目論見に比べて、許容できるものかどうかを判断する時間を取ることでしょう。
まとめ
売却活動を始めると、とにかく売却することが目標になりがちで、時間の経過とともに「売れればいいや」という、あきらめの気持ちに支配されてしまうことが多々あります。
そうなると、当初の目的や計画はなし崩しになり、せっかく所有していた資産も、その価値を十分に発揮できなくなってしまいます。
そうした事態に陥らないために売主ができることは、まず仲介業者の選定について、比較検討を十分に行い、説明に納得できるなどコミュニケーションがとれる相手かどうかを確認することが重要です。
売却活動については、事前にどのようなバリューアップができるかを検討することも、売主ができる対策のひとつです。なぜならば、業者も買い手も、原則として現状でしかそのマンションを判断しようとせず、現状を変えるチャンスと権利があるのは売主だけだからです。
売主だからこそできる「仲介業者を絞り込む前のヒアリング」や「リフォームやハウスクリーニングなどのバリューアップへの投資」をしっかり検討することが、少しでも高くマンションを売却するためには有効になるはずです。