建て替えの話があるマンションの売却はどのタイミングが良い?
新築のマンションも、買った直後から中古マンションになります。
中古マンションを買ったとしても、その時点で築年数がリセットされるわけではないので、どんなマンションであっても、古くなっていくことに抗うことはできないのです。
耐震などの改修工事を行うことで、多少の若返りは可能です。しかし、どんなに改修工事を施しても、新築に戻ることはあり得ません。
管理の状態にもよりますが、40年、50年と経つうちに、配線や配管などのライフラインに傷みが目立つようになります。改修工事では塗装や屋上防水など、外面の手入れが中心となり、なかなか手をかけられないのが実状だからです。
なぜそうなるかといえば、ライフラインを入れ替えるような工事では、マンションの日常生活に多大な影響が出るのは必至だからです。しかも工事費は高額。長期修繕計画どおりにすんなりと実現できるマンションは、決して多くはないのが現実なのです。
そこで、そうした大規模な修繕工事の案とセットに提案されることが多いのが、建て替えのプラン。どうせライフラインが麻痺する状態に陥って莫大な費用もかかるのであれば、建て替えて真っ新な状態にする選択肢もアリなのではないかと考えるわけです。
大規模な修繕工事と建て替えが検討され始めたマンションというのは、かなり傷んでいることを意味します。マンションが傷んでいるということは、その資産価値も損なわれていると判断されるわけです。
しかし、建て替えの話が進めば、新築のマンションが手に入ることになります。つまり、現況はボロボロなマンションであっても、行く行くは新築になるというプレミアが付いたことになるのです。プレミアが付くということは、マンション売却にも絶好の機会であることを意味しています。
さて、絶好の機会であるならば、タイミングによって良し悪しがあるのか、狙うべきタイミングがあるならどこなのかなどを検証してみましょう。
建て替えの話が持ち上がるのはこんなタイミング
管理組合総会などでマンションの建て替えが議案に上がるのは、ライフラインなどに大きな障害が起こり、多大な修繕の費用がかかる場合が多いようです。
一般に、管理組合では主にマンションの共用部分の維持と保全を目的とした修繕をするために、組合員の合意を得て実行に移します。
この修繕では、外装などの大規模な修繕工事も定期的に行いますが、多くは補修を目的とした軽微な工事です。
つまり、ライフラインに関係するような重要な修繕工事をしなければならないケースは滅多になく、その必要があるならば工事費や工事内容を含めて、各オーナーにきちんとした報告が求められることになります。
工事費や工事内容について検討するためには、複数の見積や計画案をもらって比較するのが一般的です。こうした工事のために徴収し管理している修繕積立金は、管理組合の名目で所有者全員が共有する資金です。
管理組合理事長など一部の独断や利益誘導などを排する意味でも、相見積のように複数のプランを比較して、管理組合の総会で承認を経て決められることが求められるからです。
この複数のプランに、建て替えに関する見積や計画案が加えられるのです。なぜならば、大がかりな部分補修をしても、その効果が継続するのは長いとは言えません。
再度、大がかりな補修をすることが想定されるならば、建て替えの費用対効果と比較できると考えられるからです。
売却を考えるチャンスはこのタイミング
このように、所有するマンションで建て替えの話題を耳にするようになったときは、建て替えに匹敵する大がかりな補修が必要となっていると考えられます。
このことは、マンションの資産価値を損ねるものと考えるのが一般的ですが、実はそれだけとは言えません。
建て替えをせずに大がかりな補修工事を行った場合、一時的にマンションの表向きの資産価値は補填されます。
一方で、修繕積立金からの大きな支出があるため、管理組合の会計には余裕がなくなります。将来の再度の大がかりな補修工事のために、徴収する修繕積立金の金額を値上げすることもあるでしょう。
いずれにしても、マンションの価値についての不安材料が顕在化するのは、時間の問題です。
売却を考えるチャンスは、まずは補修工事の噂があがった時点。
建て替えにしろ大がかりな補修工事にしろ、表面的な資産価値はアップすることになります。こうした情報は、売却活動を始めるとすぐに買い手には伝わります。
資産価値がアップするタイミングは、マンションの売却にとっては得難いチャンスと言えるはずです。
まとめ
所有するマンションで建て替えの話が聞こえてきたら、そのマンションの資産価値に大きな影響を与えるほどの補修が必要になっているシグナルです。
大きな補修が必要だと言うことは、資産価値を減少させる原因になりますが、補修工事が行われる時点では、価値がアップすることになります。
つまり、このタイミングでのマンション売却は、売却活動を有利に進めることのできる「追い風」が吹いているとも言えるのです。
他にマンションの建て替えが決まった時も、売却に有利な風が吹くと言えます。
この場合では、古いマンションの所有者としてではなく、建て替えて新しくなるマンションの所有者として売却しなければなりません。
もちろん、建て替えるまで保有する経費など、発生する出費も少なくありません。税金や取引の手順を熟知した専門家と相談しながら、タイミングを慎重に検討する必要があります。
なお、できるだけ早くマンション売却に取り組むのであれば、イエウールのようなに無料査定サイトを活用して自分のマンションの価値を判断することが大切ですよ。
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