高く買い取ると言われたマンションは売却すべきか?
マンションは、我が家であるとともに、資産でもあります。住むという、生活に不可欠な役割を担うだけでなく、それ自体に価値があって、現金と同等の意味があるものなのです。
しかし、一般には、住んでいるありがたみは実感できるものの、それが現金と同等の意味があるかどうかは、売却しなければ感じられません。
そして、大半の人にとっては、購入したマンションを頻繁に売却して換金することはありませんから、資産としてのありがたみは実感しづらいのが現実です。
ところが、マンションのポストに投函される「売却しませんか」という不動産業者のチラシを目にする機会も少なくないのではないでしょうか。
もちろん、現金化できることはわかっていても、住むところを失ってまで売却するのはナンセンスですから、必要に迫られていなければこの類いのチラシも真剣に読むことはないと思います。
とはいえ、普段は気にとめなかった自分のマンションの資産としての価値、考えてみてもいいのではないでしょうか。
ここでは、「高く買い取ります」という業者の手口とはどういうものなのかを解説しながら、資産として活用できるのであればマンションを売却して新たな資産形成に役立てられるのかどうかを検証してみます。
「高く買い取ります」という業者の手法について
マンションのポストにはさまざまなチラシが投函されています。その多くが不動産業者のものであるという印象を持っている人も多いのではないでしょうか。
そんな不動産業者のチラシには、実は2つの異なった内容のものがあります。ひとつは、新築や中古の売出物件をPRするもの。これは、マンションを買いたいという人に向けて発信される広告ですね。
もうひとつは、マンションを売却しませんかというもので、これはチラシを出している業者へマンションを売ってくださいという広告です。
一見、「買ってください」「売ってください」と、まったく反対の取引を持ちかける広告に見えますが、実はこの2つの広告は連動している場合があるのです。
というのは、マンションを販売したい業者がマンションを所有している人にアプローチする場合、その所有マンションを売却した資金での購入という提案が、とても現実的だからです。
普通なら、マンションを所有している人が新たにもう1戸のマンションを買い足す可能性はかなり低いでしょう。
しかし、新築や中古リフォームで付加価値を加えたマンションに「住み替える」という提案なら、興味をもつ可能性も高くなるはずです。
そうした場合、「高く買い取ります」というひと言が、有効な営業につながるというわけです。
こうした業者では、自社で買取を行う場合と、買取業者と連携して(業務委託して)行う場合があります。
自社で買取をする業者と買取業者と連携する業者の違いは、主にマージン(手数料)です。
自社内に買取部門を持っている業者の場合、買取の手数料分を販売の手数料で補うことが可能です。「他社よりも高く買い取ります」という営業トークの大半は、こうしたマージンの省略によるものと言えます。
逆に、買取専門の業者が「高く買い取ります」という裏側には、買い手の目処が付いていること、そのエリアでの実績があることなどが考えられます。
マンションの買取は、業者から見れば「商品の仕入れ」です。
意味もなく買い取り価格を高くしてしまえば、よほど高く売却できなければ、ビジネスとして成り立ちません。
つまり、買取業者の「高く買い取ります」という言葉には、そのマンションを再販売できる業者ならではの手法やルートがなければならないわけです。
買取を検討したほうが良い場合と悪い場合
マンションの買取は必ずしも怪しい取引ばかりではないことがわかれば、資産として活用する方法を考えてみてもいいのではないでしょうか。
まず、マンション販売とセットになっている場合では、買い替えるマンションが本当に自分のライフスタイルに合っているか、資金計画に無理はないかを、改めて確認すべきです。
マンションを買い替えるとなれば経費がかかります。もし「高く買い取ります」を実行してもらっても、資産的には目減りしたり、新たに住宅ローンを組むなど、負担が増すこともあります。
買い替えるマンションの購入手段として、買取を選択肢のひとつとして見直すぐらいの慎重さが必要です。
まとめ
所有しているマンションには、住む場所を確保するとともに、資産として生活設計に役立てることができる面ががあることも忘れてはいけません。
その意味では、マンションのポストに頻繁に投函されている「お宅のマンションを高く買い取ります」というチラシも、活用法があるということになります。
気をつけなければいけないのは、買い換えの資金として買取による売却を誘導される場合です。
まず、業者の提案内容をしっかりと理解し、その業者がどこで利益を上げようとしているのかを見きわめる必要があります。
また、買い換えの提案では、ついつい新しいマンションの購入にばかり意識が集中してしまいがちです。しかし、買い換えた場合の負担は増えないか、増えた負担には対処できるのか、本当に買い換えたかったのかといった、購入手段の選択肢のひとつとして買取を見直す必要があるでしょう。
業者が「買い取る」と打診をするマンションは、不動産市場でも商品価値があると判断されているわけです。業者の「高く買い取ります」を鵜呑みにするのは危険です。
しかし、マンションを資産として活用するチャンスとしてとらえることもできるので、所有マンションの資産価値を確認してみてはいかがでしょうか。
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