マンション売却の成功率をアップさせる「ターゲットの絞り方」
マンションの売却活動を始めると、反応が気になるようになります。
活動を始める前は、できるだけ間口を狭めずに、できるだけ機会の喪失がないようにと心がけた戦略を立てたいという売主が多いのも事実。
しかし、問い合わせがあるものの、なかなか成約に結びつかない状況が長引いてくると、「もっと間口を広げて、誰でもいいから買い手を見つけてくれ!」と、業者に戦略を支持する売主も少なくないのです。
ところが、間口を広げれば広げるほど、そのマンションを本当にほしいと思う買い手のもとには情報が届きにくくなり、ますます「反応の割りにはピンッと来ない買い手」ばかりを集めてしまうようになってしまいます。
つまり、「誰でもいいから買ってほしい」という間口を広げる戦略は、マンション売却にとって逆に成功率を下げてしまいかねない愚策ということになります。
では、その反対の「ターゲットを絞り込む」という戦略をとればいいだけじゃないかということになるのですが、これがまた難題。
というのも、絞り込み方を間違えると、まるで魚のいないポイントに釣り糸を垂れるようなことになりかねません。
そこで、マンション売却のターゲットの絞り方を、成功率アップにつなげるにはどうすればいいのかを念頭に置きながら、考えてみましょう。
マンション売却でターゲットを絞ることのリスクとは?
一般の人がマンションを売却しようとするときに、「できるだけ間口を広げたい」と考えるのは、そのほうが簡単で効果がありそうだと思うからです。
しかし、間口を広げるということは、一見「購入希望者へのより広範囲な呼びかけ」のように見えますが、実は逆なのです。
例えば、東京都新宿区にあるマンションを売却しようとする際に、新宿区を販売戦略のエリアとする場合と、東京都、全国の3つのケースで考えてみましょう。
新宿区の人口は、約34万人(平成29年10月1日現在)。東京都は1374万人(平成29年9月1日現在)。全国は1億2667万人(平成29年9月1日現在)です。
それぞれで単純に、エリア全員に対してチラシをまくなどの広告行動をとったとします。それに対して、0.1%の反応(問い合わせ)があるとすると、その数は新宿区をエリアとした場合は340人、東京都エリアでは13,740人、全国エリアでは126,670人。
反応がなければ売却活動は先に進めないわけですから、この母数が多ければ多いほど、先に進めるのではないかと期待してしまうわけです。
しかし、興味のない人にいくらチラシを渡しても、読まれる可能性は限りなく低いというのが現実です。
つまり、間口を意味も無く広げても、それに比例して反応が増えるとはかぎらない、いやむしろ「労多くして功少なし」となる可能性のほうが高くなってしまうのです。
では、ターゲットを絞れば、自動的に反応も増えるかと言えば、それほど甘くないのが不動産取引市場。
例えば、男性お一人様や女性お一人様、ファミリー層、シニア層といった分け方を不動産業界では一般的に行なっていることが多いようです。
単身者は間取りの少ないワンルームや1DK、ファミリー層なら3LDK以上、シニアであれば1LDKか2DKぐらいといった絞り方が、主に賃貸市場では行なわれているようです。
たしかに、人数×15平方メートルといった感じで部屋を選ぶことが多いので、賃貸市場ではこうした物件紹介が一般化しているのでしょう。
ですが、売買市場がこの傾向どおりであるとはかぎらないのです。
賃貸では「いま住むためのスペース」を考えますが、購入となれば「これからの住まいのためのスペース」を考えるからです。
例えば、単身者であっても、貯金をはたいてマンションを購入しようと思ったときに、「そのまま家賃を払い続けるのがもったいない」と同じ広さの物件を探したり、「近い将来、家族が増えることを考えて」より広い物件を探したりします。
つまり、購入へ至った理由によって、求める物件も変わる可能性があるわけです。
この理由を見逃してしまうと、いくら売主が考えてターゲットを絞ったつもりでも、結果につながらなくなってしまうのです。
マンション売却で効率的なターゲットの絞り方とは?
結果につながる、効率的にターゲットを絞るには、どうすればいいのでしょうか?
そのためにはまず、売却しようとするマンションの特性を、客観的に見直すことが重要です。
売主は自分が所有していたマンションであることに愛着と自負があります。そして、自分が購入した理由に強く影響されていることが考えられます。
こうした執着は、買い手にとってなんの意味ももっていないのです。
自分の通勤や買い物に便利だった、部屋の大きさと広さが家族の規模に合っていたといった「売主の印象」は、セールストークとしてはウザくて効果が薄いものになってしまいます。
売主が効率的なターゲットの絞り方を考えるには、まずこの「売主目線」を止めることから始める必要があります。
「売主目線」を廃止するということは、「買い手目線」で売却活動を考えるということです。
部屋の広さで同居人数を考えるのではなく、収納スペースという面で広さを考えれば、ファミリー層ではなく子どものいない新婚やシニアをターゲットにしてみるのはどうでしょうか。
狭いワンルームだったら、単身者だけではなく、セカンドルームとして仕事場が近いビジネスパーソンや、思い切って近隣のショップなどのオフィスや休憩室といった法人利用を考えるのもいいかもしれません。
まとめ
マンション売却の成功率をアップさせるには、なんといっても問い合わせなどの反応を上げる戦略が必要になります。
そのためには、より効率的な見込み客=ターゲットへの呼びかけ方が欠かせません。
そして、「売主目線」を廃止して、「買い手目線」で売却マンションを見直さなければなりません。
具体的には、いろいろな買い手を想定しながら、むやみに間口を広げるのではなく、「こんな使い方ができるはず」といった利用者のメリットを考え、ターゲットを絞り込んでいくのです。
ターゲットはひとつに絞る必要はありません。絞ったターゲットを増やしていけばいいのです。
こうした柔軟で専門的な戦略は、従来の不動産取引の慣例にとらわれず、買い手の動向をきちんと勉強している業者のサポートなしには立てられません。
業者選びの際に、「御社ではこの物件についてどんなターゲットを想定した売却戦略が考えられますか?」という質問をしてみてください。
【参考】HOME4U(マンション無料査定サービス)の口コミ@良い点・悪い点や使い勝手を検証