マンション売却時の販売図面のチェックポイント@他人任せにしない!
マンションの売却活動の基本姿勢とは、「買ってくれる人が現れるのを待つ」と言い切ってもいいでしょう。
もちろん、不動産の売買を生業にしていない一般人にとって、手立てもなくただ待つばかりの状態を続けても、そのマンションを売却できる可能性は限りなく低いと言わざるを得ません。
そのために、買い手探しなど取引に関わる業務をサポートする不動産仲介業者が間に立つことが、一般的になっています。仲介業者は、依頼を受けた売主の意向に沿いながら、買い手を探すことになります。
不動産取引のマーケットは専門性を必要とすることもあり、素人が生半可な知識で挑戦しても、成功する可能性は高くありません。それよりも、業者のネットワークとノウハウを利用して取引を行うほうが、スムーズでストレスの少ない的確な資金化の可能性を高めることができるはずです。
だったら、業者に丸投げしてしまえば安心なのかと言えば、そうでもありません。
考えてみてください。依頼する売却マンションに関して言えば、売主と業者は1対1です。売主としては、その売却マンションを第一に考えてくれるものと思いがちでしょう。
ところが業者のほうは、いくつも案件を担当していることが多いので、プライオリティは必ずしも一番とは言えないのです。
もちろん、業務をまっとうするからには、手抜きや差別はできないというのが、業者側の言い分。それを差し引いたとしても、売主と業者の間にある温度差は解消できない可能性が高いです。
こうした温度差は、業者に仲介を丸投げすれば、さらに広がるはず。
そこで、少しでもこの温度差を縮めるためにできることの中でも可能性の高い、販売図面の作成にスポットを当てて考えてみましょう。
売却マンションの販売図面に売主が口を出したほうがいい理由
売主と業者の間にある温度差を少しでも解消するためには、売主が販売図面に関わることが効果的です。
売主が販売活動について口を出すと、業者のプライドを傷つけたり、面倒な顧客だと思われたりしないかと思いがちです。業者の心証を損ねれば、熱心に販売活動を行なってくれないなどの不安を、売主は感じがちになるからです。
当たり前のことですが、自分が所有するマンションについていちばん知っているのは、自分です。
不動産取引に不慣れなシロウトだから、プロである仲介業者の担当者に任せておけば安心とばかり、丸投げをしたくなる気持ちもわかります。
しかし、仲介担当者は、その売却マンションについての情報を、主に売主からの聞き取りで得るしかない、というのが一般的なのです。
つまり、仲介担当者にとって、担当するその売却マンションについての情報は、売主が話さないことは知るよしもありません。
仲介を依頼すれば、プロの目で調査を行い、厳正な取引に必要な情報を業者が自発的に収集してくれるというようなイメージを抱いているのであれば、それは大きな間違いです。
あくまでも売買のサポート業務を扱うための委任を受け、職業倫理の範囲内で誠実に業務を行うことで、自らのビジネスを成立させることが、業者の目的となります。「職業倫理の範囲内で誠実に」とは、事実と違うことを掲げたり、知ったことを知らなかったと言ったりして、自分が有利に取引を行おうとしないことを意味します。
つまり、聞いたことには対処する義務があるけれど、聞かなかったことには対処しなくても責任を免れる、ということです。
ということは、仲介業者の担当者は、なるべく売主から物件の情報を聞き取ることなく、一般的な流れで取引を終えられるほうが、効率が良いことになるわけです。
「ウチのやり方に任せてください!」「ウチには実績があるので大丈夫です」といった営業トークは、裏を返せばいかに手間をかけずに手数料を得るかという、業者側のテクニックに売主が付き合わされてしまっているだけの可能性が高いのです。
売主が知っている情報は、どんどん仲介担当者に伝えるべきです。そのうえで業者がノウハウを駆使して、その情報をアピールポイントに変えてくれるというのが、誠実な業務と言えるのではないでしょうか。
伝えた情報を反映しようとしないのは論外ですが、上手くアピールポイントに転化できないのも、誠実な業務を遂行できるだけのスキルがある業者とは言えません。それを感じたら、媒介契約の更新を止めて、新たに仲介業者を探すべきです
売却マンションの販売図面で売主が口を出すべきポイント
売主は、自分のほうが知る立場にある売却マンションの情報をどんどん仲介担当者に伝えることが、販売活動を充実させるには効果的なのは確かです。
しかし、なんでも担当者に伝えて、売主の言うとおりにさせたからといって、販売活動が成功するとはかぎりません。
注意すべきは、売主は情報を預ける立場に徹し、その情報をどのように活用するかは業者に任せるということです。
業者のインセンティブとなるのは、早く取引をまとめるための情報です。そうした有利になる情報を的確に提供してくれる売主とは、良い関係を築きたいと考えるはずです。
ネガティブな情報も共有していることが大切です。後々のトラブルを避けるためにも、業者側で対策を立てることができるようになるからです。また、売主がネガティブだと思っていた情報も、視点を変えればセールスポイントになることもあります。
買い手にはさまざまな好みや要望をもった人がいるのです。そうした対応をノウハウとして蓄積しているのが、仲介業者なのです。
そして、その仲介業者のノウハウを活かせるかどうかは、売主が情報を出さなければ始まりません。
まとめ
マンションの売却活動に欠かせない販売図面の制作には、ぜひ売主が積極的に情報を提供するようにしてください。
販売図面は、買い手が物件にアクセスするための手がかりとなるものです。これを業者に丸投げしてしまうと、どれも同じようなものになってしまい、目立たせることができません。
売主は知っている情報をどんどん仲介業者の担当者に提供すべきです。業者はそうした情報から、物件の差別化を図れるセールスポイントを抜き出し、取引の成功率を上げるために活用します。
こうしたノウハウこそ、仲介業者の選択条件に係わる重要なポイントになるわけです。
販売図面の目立たせ方を見るだけで、業者の担当者が誠実な業務を遂行するスキルがあるかどうかを見抜くことができます。業者との信頼関係を深めるためにも役立ちますので、ぜひ販売図面の作成に口を出すことをおすすめします。