築古のマンション売却を売主有利にすることはできるのか?
売り出しているマンションというのは、新築か中古かの2種類しかありません。
ただし、それがどんなに建てたばかりのマンションであっても、一度でも所有権の登記がなされていれば、売却するときは中古マンションとみなされます。
従って、原則として個人が所有しているマンションを売却する場合は、中古マンションの売買になるわけです。
しかし、一概に中古といっても、条件や状態の違いによって評価は異なります。
建てて数年しか経っていないのに売却されるものと、そこで生まれ育った子供たちが独立した30年後に売却されるもののの評価が異なるのは、むしろ当然と言えるでしょう。
とはいえ、丁寧に手入れをしながら住み続ける欧米のような習慣のない日本では、エイジングといった「古いからいい」といった評価がなかなかされないのも事実です。
つまり、マンションを売却しようとしたときに、そのマンションが築年数の古いマンションだと、それだけで大きなハンディキャップを背負うことになるわけです。
でも、先に触れたように、マンションの条件や状態は1つ1つ違います。違うのであれば、一律に「築古はダメ」と言いきれないかもしれません。
そこで、築古であっても、売主有利にマンション売却を進められないかを考えてみましょう。
築古がマンション売却の売主に不利となるケース
築古とは、一般的に法定耐用年数の3分の2を過ぎたぐらいからの建物に用いられているようです。
法定耐用年数は、鉄骨鉄筋コンクリート造のものが47年ですから、築30年を超えたあたりからになるでしょうか。
鉄骨鉄筋コンクリート造のマンションでは、国土交通省が大規模修繕の工事計画周期を12年ほどで推奨しています。
つまり、36年目、3回目の大規模修繕を控えた、あちこちに不具合が目立ち始める時期のマンションを総じて「築古」と呼ぶようになっているのです。
ただ、前述のように、マンションごとに条件や状態は異なります。大規模修繕で言えば、2回を計画通りに実行して、3回目をどのように行うかというような計画性をもった物件であれば、建物の状態もいいはずです。
反対に、管理会社や理事経験者に聞いても「1回ぐらい壁の塗り替えで足場を組んだかもなあ」といったあやふやで内容も確認できない状況であれば、物件の状態は推して知るべしでしょう。
実は、こうした第三者が推して知ることのできることは、当然のことながら買い手も考えるわけです。
買い手側の仲介担当者がちょっと調べれば、そのマンションの修繕状況がどうなっているのかはわかってしまいます。
「修繕状況がわからない」ことがわかれば、管理の行き届いていない物件だと判断できるのです。
そう判断されるということは、売主にとって不利であることは言うまでもないでしょう。
築古なのに売主有利にするには?
築古という買い手のマイナス印象を覆すには、物件の他のメリットを主張するしかありません。
例えば、その物件の立地や間取り、広さ、陽当たり、景色などが優れていれば、それを築年より評価する買い手も少なくありません。
なぜならば、「建物の古さ」が生活に大きな影響を与えるものでないかぎり、その他の条件によって得られる住み心地のほうに関心をもつ人が多いからです。
前述のように、原則として個人が売り出すマンションは、すべて中古です。
新築を基準に比較しようとしていないかぎり、買い手は「古さ」にある程度の妥協を織り込んでいる可能性が高いのです。
もちろん、大規模修繕の記録が曖昧だったり、実行していなかったりすれば、マイナス・ポイントどころか購入リストから外されることになるでしょう。
しかし、計画修繕がなされて、目視しても不具合が気にならない程度の物件であれば、購入の候補に残る可能性は十分にあるのです。
まとめ
築古マンションの築古とは、築年数の多いことを意味しています。
だいたいどのぐらいから築古と呼ばれるのかは、特に定めがあるわけではありません。
おおよそ耐用年数の3分の2を過ぎたぐらいからを築古と呼ぶようです。
これは簿価すなわち課税評価のための減価償却によって、価値が減っていくという考えに連動しています。
しかし、実際の物件は計算通りに古くなり、価値がなくなるわけではありません。
物件の状態に違いが出るのは、建築時の資材や技術によるところも大きいでしょう。
それ以上に、計画修繕が行われ、管理が行き届いているマンションなら、目視できる以外の部分の劣化も少ないだろうという評価につながります。
また、「古さ」以外の、立地や間取り、広さ、陽当たり、景色などのアピールも効果的です。
「マンションは管理を買え」と言われるのは、実際の住み心地が必ずしも「古さ」に比例して悪くならないことを示しているのです。
売主がこの点に注目して売却戦略を立てれば、築古でも無抵抗に買い叩かれたり、買い手の選択肢から外されるような確率を下げられるでしょう。
まずは、仲介担当者と「自分の物件の築年数以外の強みはなにか」を話し合ってみてください。
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