Uターンのためにマンションを売却したが買い叩かれました
私たち夫婦は埼玉市の郊外に住んで都内に通勤していました。しかし、親の体調が今一つで、介護とまでは行かないものの近くで生活しようということで、地元にUターンすることにしたのです。
地元へUターンするにあたって、重要だったのが「仕事探し」と「現在の住まいの売却」。仕事に関しては、幸運なことに知り合いが勤めていた会社に転職が決まり、残る懸念はマンションの売却ということになりました。
住んでいたマンションは、売値を考えると残債(残りの住宅ローン)を完済できるかどうかの微妙なところ。引っ越しの1年前から売却活動を始めましたが、なかなか問い合わせの連絡が来ません。
見学者はポツポツくるものの全然売れない
当初は知り合いの不動産屋さんに専任専属で売却をお願いしていたのですが、タイムリミットは近づくばかり。価格を叩かれるのは覚悟で、仕方がなく数社と一般媒介契約を結ぶことにしました。
それからしばらくして、その効果は表れ始めました。一般媒介契約を始めてからは、月に数件は見学に来られる方が出てきたのです。
しかし、どの方も「いいですね!」と言ってはくれるものの、なかなか具体的な話には辿り着きません。妻からは「どうするの!」とせっつかれるばかり。
転職先では会社の借り上げ住宅に安価に入居できるとはいえ、このままで家賃と住宅ローンがダブルでのしかかることになってしまいます。
転職先の給与はさすがに地方ということもあり、それまで貰っていた給料よりも下がってしまうことはわかっていました。それで何とか生活できるレベルだったのが家賃二重払いでは家計が持ちません。
家が売れないまま地元へUターンすることに
しかし、そうこうしているうちに引っ越しの時期が来てしまいます。最後は二人で引っ越しと部屋のクリーニング。当然雰囲気も最悪。そして不安を抱えながら、新天地での生活が始まることになったのです。
当然ながら、帰省してからも売却活動はしてもらっていました。毎月送られてくる各社からのレポートには、反響無しのコメントばかり…。家庭の雰囲気も最悪です。「きっと大丈夫!」と妻を説得していたのですが、私の自信もなくなってきます。
そんなある日、とある不動産業者から連絡が入りました。私は上京できないので接客は業者さんにお任せ。よい報告が来るのをじっと待つしかありません。その期間の期待と不安が入り混じった精神状態は、今思い出してもぞっとしてしまいます。
購入希望者が現れるも大幅な値引きを要求される
そして待望の連絡が入りました。「見学された方が購入されたいと言っています。でも、もう少し価格を下げられませんかね?」予想はしていましたが、思っていた以上のディスカウントを迫られました。たとえ、売れたとしてもローンは完済できない金額です。
しかも、購入時期は半年後。ということは、まだまだ私達はローンを払い続けなければなりません。妻に相談すると「あんたが大丈夫といったのだからそっちでどうにかしてよ!」の一点張り。
仕方なく私の実家に頭を下げ、ローンの一部と売却後の残金の支払いを負担してもらうことにしました。
売却の手続きは現地の不動産事務所で行われました。その時の交通費も「うちから出せるわけないでしょ!」と妻から一喝され、これまた実家からお金を出してもらうことに。
現地で買主と顔を合わせましたが、本当に人が良さそうな親子でした。「綺麗に使ってもらっていてよかったです」と言われ、涙が出そうになりました。
一日かけて銀行の手続きを済ませ、夕方に東京から地元へ戻りました。その日の記憶は、もう少し残っていても良さそうなのですが、帰りの新幹線の中で何を考えていたのか、とか駅からどうやって家に戻ったのか、そして帰宅した時に家でどんな話をしたのか、など全く記憶に残っていません。
相当疲れていたのでしょう。そうして何とか帰省を果たすことができ、落ち着いた生活に戻ることになりました。
とは言え、何か事あるごとに妻からはあの時の事をきつく迫られます。今度購入するとすれば終の棲家になるのでしょうが、それでもその時の出来事がよみがえり、なかなか不動産には手を出せないでいます。
早くあのトラウマから逃れ、心から落ち着ける住まいを手に入れたい、と考え始めたこの頃です。