不動産売却時に専任媒介契約を結んだが全然売れなかった体験談
一般の人にとって経験値がきわめて低いのが、不動産(マンションや戸建て住宅)の売却という取引。そして、売買の成立までを「千里の道」に例えるとすれば、仲介業者を選んで媒介契約が成立し、売り出すことが決定した時点というのは、まだまだ「一歩」を踏み出したに過ぎないのです。
媒介契約のために仲介業者の担当者と面談していると、目の前の媒介契約書に記名押印すれば、明日にでも希望価格で売却できてしまいそうな気分にさせられることもあるでしょう。しかし、買手の言い値で処分するケースでもないかぎり、現実はそれほど甘くはありません。
売り出したのになかなか買手が決まらない、反響も少ないなどなど、売却活動が不調だと、真っ先に仕切り直したくなるのが仲介業者選び。
そこで、失敗例を参考にしながら、不動産売却の落とし穴にはまらないための、業者の変更に関するポイントを探っていきましょう。
売却活動がうまくいかない理由
不動産はひとつとして同じものがないと言われています。したがって、売却の条件もケースバイケース。売却活動がうまくいかない理由もそれぞれ異なることが考えられます。
しかし、不動産のほうはケースバイケースでも、売却活動をする側には共通の理由があるものです。問い合わせや内覧はけっして少なくないにもかかわらず、買付の申し込みや価格交渉まで進まないケースを振り返ってみましょう。
反響があれば、専任媒介契約を結んだ仲介業者が「ちゃんと仕事してくれている」と感じることはできます。しかし、内覧のあとに「残念ながら今回は…」という連絡を受けると、期待した分、落胆も大きくなってしまいます。
野球に例えると、毎回出塁するのにタイムリーヒットが出ない、サッカーなら、シュートがことごとくゴールポストにはじかれる、といったところでしょうか。
売買契約の成約まで進まないケースで考えたのは、物件情報と実物とにギャップがあるのでは、ということ。
私が実際に不動産を売却してときにことを振り返ってみると、業者と専任媒介契約を結んだのは、売却物件を「いい物件なので高く売れます」と言ってくれたことが影響していました。
所有物件をシビアに評価することが売却成功の重要な鍵を握っているとは、頭ではわかっていたものの、褒められてうれしくないわけはありません。
実は、そのほかの業者との媒介契約に関する交渉中でも、こうした褒め言葉はよく耳にしました。
売却側としては、少しでも高く売りたいというのが本音ですから、物件の良いところをちゃんとわかってくれる業者に仲介を任せたいという気持ちがないはずがありません。「物件の良いところ=セールス・ポイント」なのですから。
しかし、成約に結びつかないことで、売出し条件の見直しをしなければならなくなると、果たして専任媒介契約前に業者が言っていた褒め言葉は「本当だったのか?」という疑問が湧いてきます。
というのも、業者は媒介契約を結ばなければビジネスがスタートしません。競合する業者のなかから選んでもらうためには、多少の過剰な評価も必要という認識があるのでしょう。もちろん、購入希望者にも同じような利点を説明してくれているはずです。
しかし、購入希望者が内覧で物件の状態を見れば、セールストークが本当だったどうかはすぐにわかってしまいます。セールストークの内容に不審を抱かれてしまうと、交渉が先に進むはずがありません。
こうした業者と売主、そして購入希望者の考え方や感じ方の温度差が、売却活動を滞らせる大きな原因になってしまうのです。
業者を変更する際のコツとは?
結局、前述した業者とは契約を解除しました。次に私が専任媒介契約を結んだのは、エリアに強いという触れ込みだったフランチャイズの業者です。エリアに強い業者とは、同業者を含めた見込み客とのコネクションを確立しているエリアがあることを意味しています。
媒介契約を結ぶと、まず、そのコネクションに情報を流して、反応をうかがいます。見込み客の中に購入希望者がいれば、あとは交渉するだけ。
漠然とした対象を相手に売却活動をするわけではないので、タイミングが合えばスピーディーかつスムーズに成約までこぎ着けることができるというわけです。
注意しなければならないのは、コネクションを一巡しても購入希望者が見つからなければ、お手上げということ。エリアに強いということは、エリア内に可能性がなくなってしまうと、俄然「弱い」ということになってしまうからです。
このように、大手は担当エリアの広さと知名度の高さ、エリアに強い業者は太いコネクションと、それぞれ得意分野が違います。どちらの得意分野で成約できるかは、運も絡んで不確定と言わざるをえません。
そうであれば、ひとつの業者に固執するのは機会損失の可能性を高めることにしかなりません。反響が思わしくない場合は、分析や条件の見直しも大切ですが、業者を変える、それも得意分野の違う業者で仕切り直してみるほうが、成約の可能性を高める効果が期待できるはずです。
まとめ
売却活動では、反響の有無が結果を大きく左右します。条件に対する多少の意見の相違があっても、購入希望者がいれば、交渉のなかで妥協点を探ればいいのです。しかし、反響がなかったり、減っていく状態になったらそれもできません。そのときはまず、業者を変えてみることが有効な手段なのです。
業者はそれぞれに強みがあり、それを活かした売却活動を展開します。逆に言えば、得意ではない売却活動には熱心ではありません。つまり、反響に不満がある場合には、違うタイプの業者を選ぶほうが、新たな反響につながりやすいということです。
同じ業者でそのまま売却活動を続けたり、同じタイプの業者に変更しても、売出価格の見直しなど条件を下げるくらいしか有効な手立てはありません。機会を損失している状態のまま価値を下げる手法は、あまり賢いとは言えません。それならぜひ、違うタイプの業者に変更して、新たな可能性を掘り起こしてみるべきです。
ネットの無料査定サービスを利用すれば、違うタイプの業者を探すことも簡単にできます。こうしたサービスを最大限に活用して、フットワークを軽くしながら、成約の可能性を高める努力を惜しまずに売却活動を進めてください。
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そのようなサービスを活用しておけば、あなたの条件にマッチした仲介会社も見つけやすくなりますので、ぜひ賢く活用しましょう。
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